MAISON KITSUNÉ x TOILETPAPER CAPSULE COLLECTION Interview with Pierpaolo Ferrari

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今年4月15日〜30日まで、MAISON KITSUNÉが現代美術家のマウリッツィオ・カテランとフォトグラファーのピエールパオロ・フェラーリが手がけるアート雑誌「TOILETPAPER」とコラボレーションを行った。TOILETPAPER仕様のグラフィックによりがらりと趣を変えた、MAISON KITSUNÉの代官山のブティックでは、Tシャツやフーディー、デニムシャツやコットンジャケットなどをユニセックスで販売。大盛況のうちに幕を閉じた。このイベントにあわせて来日したピエールパオロ・フェラーリさんのインタビューをついに公開。

僕たちはコミュニケーションの革命を起こしたいと思っているんです。

ー そもそも、MAISON KITSUNÉとはどういった関わりだったのでしょうか?

もともと僕がパリを拠点にしていたこともあって、MAISON KITSUNÉの共同設立者の一人であるジルダと友達だったんです。僕たちTOILETPAPERはずっとMAISON KITSUNÉの大ファンなんです。ブランドコンセプトだけでなく、ライフスタイルにも魅了されていました。ジルダも同じくTOILETPAPERのプロジェクトに惹かれていました。また、僕たちは日本のカルチャーへの共通した興味も持っていました。そのうちMAISON KITSUNÉは色々なブランドとのコラボレーションをしはじめ、またTOILETPAPERもKENZOのキャンペーンルックをはじめ、様々なブランドとのコラボレーションをしていました。今回の来日に至ったKYOTOGRAPHIEへの参加が決まり、ジルダへ今回のカプセルコレクションをしようと話したのです。「いつか一緒に何かできたらいいね」と話をしていたので、今回、こういう形でコラボレーションができたことをとても嬉しく思っています。
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ー 実際、このコラボレーションを形にするにはどういう経緯があったのでしょう。

プロジェクトとしてはとても短い時間で進みました。最初はディナーをしながら進めていきました。KYOTOGRAPHIEのプロジェクトにかなりの時間がかかっていたため、今回のコラボレーションはクイックに進めようと決めたのです。今後は服に対する表現やアイディアをもっと深めて、日本のオーセンティックである着物や発展させたパターンや生地を使用したコレクションを作りたいですね。今回の僕たちのコラボのはじまりで、新しいブランドの組み合わせを紹介しただけとも言えます。TOILETPAPERのイメージを使うことはもちろん、明るくフレッシュなカプセルコレクションにしたく、お客さんの反応を見てみようと思ったのです。また、MAISON KITSUNÉのクリーンなスタイルとTOILETPAPERのとても強いイメージをうまく融合しようともしました。僕とマウリッツィオがまさに好きな、シンプルでヤングが特徴であるMAISON KITSUNÉがTOILETPAPERのイメージを和らげます。僕とマウリッツィオは自分たちが実際に着ることのできるコラボレーションを作ろうと考えました。
TOILETPAPERはコンテンポラリーアートの文脈で語られることの多いものですが、そこで表現するイメージはポップなもの。それはコミュニケーションの方法として僕らが選択しているものです。見る人の目に映るものの向こうにある意味、それを伝えたい。そのためには様々な方法がありますが、今回のコラボレーションでは、Tシャツやフーディ、さらには別のコラボレーションでは家庭で使うお皿といったアイテムを作っています。あなたがTOILETPAPERの作品を持ったり、Tシャツを着ている時、あなた自身がTOILETPAPERになります。これにより、ただ写真を見てもらうだけでなく、ライフスタイルの一種としてみなさんに僕らの世界観を体験してもらうことができる。雑誌に載るTOILETPAPERの写真はただのはじまりで、僕たちのプロジェクトの10%でしかなく、もっと活動を広げたかったのです。写真はTシャツになり、カーペットになり、お皿になり、部屋になり、音楽になっていきました。TOILETPAPERのアイディアは多様な使い方ができるのです。
そして、TOILETPAPERが伝えるイメージは、さまざまなメッセージに解釈される可能性があることも重要です。ひとつの写真は人によって違う見え方になります。ある人がバイオレントと感じた写真を、違う人はハッピーと感じる。そんなことはしばしば起こります。そして、それこそが僕らの活動です。
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ー アートを通じて、見る人たちに刺激を与えたい、ということなのでしょうか?

はい。僕らの表現は、いわゆる「宣言」ではありません。TOILETPAPERは「議論」の出発地点でありたいと思っています。僕とマウリッツィオはイタリアを拠点にしていて、面白いことにジルダもイタリア文化がとても好きです。それが僕たちの友情関係が深い理由でもあるし、フランス、イタリア、日本の文化がうまく出会い、自由でミレニアルなスタイルが生まれます。この3国には共通点があると思っています。TOILETPAPERのイメージはポップだけど、象徴的な要素が含まれています。それは宗教画でも同じことが言えます。それはイタリアのアート界での昔からの歴史でもあり、フランス、日本でも、それぞれ手法は違えどおそらく同じ歴史があると思います。イタリアでは教会によってアートが支えられていました。ラファエロやミケランジェロは教会のために作品を作り、彼らはメッセージをその中に残し、その度に議論をしていたのです。MAISON KITSUNÉとTOILETPAPERのコラボレーションで生まれたTシャツを着た人が友達と会い、友達とプリントされた写真について話をする。こうして広がっていく大きなコミュニケーションを楽しんで欲しいのです。決して、一枚の写真から何かひとつの「答え」を伝えようとは思っていません。
近年ではハイブランドとアートの接近がさまざまな形で見られます。ファッションは文化でもあり、もともとアートとは親和性の高いものでした。そして、しばしばそれは一部の限定された人たちの間でやりとりされるものでしたが、アートを介すことで生まれる強い力を持ったコミュニケーションはもっと多くの人たちのためにあるものです。
僕たちはコミュニケーションの革命を起こしたいと思っているんです。多くの人がアートに近づき、親しむ。MAISON KITSUNÉは日本だけでなくワールドワイドに人気のあるファッションブランドですが、国境無くアートの力を活かしたコミュニケーションが広まっていくために、今回のコラボレーションはとても意味のあるものだと思っています。

photo:HIDEYUKI SATO(Y’s C)
interview:TSUZUMI AOYAMA

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TOILETPAPER
現代美術家であるマウリツィオ・カテランと、ファッション・フォトグラファーのピエールパオロ・フェラーリが2010年に発刊したアート雑誌。超現実的な写真は、ビビッドなカラーと既存の予定調和を大胆に打ち破る世界観。時にシュールに、時に挑発的に世界を席巻。アート界、ファッション界の視線を釘付けにしている。
http://www.toiletpapermagazine.org

MAISON KITSUNÉ代官山
東京都渋谷区猿楽町20-14
メゾン キツネ カスタマーセンター 0120-667-588
www.maisonkitsune.fr

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